外来診療

疾患・検査詳細

外来診療イメージ

形成外科

ほくろ(色素性母斑:Pigmented nevus)

定義:
生まれつきあるものが大部分ですが、後から出てくるものもあります。少しずつ大きくなることもあります。悪性化することは稀ですので、治療する場合は見た目の改善が主な目的になります。
治療:
最も確実な治療法は切除です。日帰り手術(局所麻酔)で可能です。小さい子供の場合は入院(全身麻酔)になります。
小さいものが多数ある場合は、炭酸ガスレーザーでの治療が手軽です。ただし、健康保険が使用できないため全額自費になります。
 

<例1>

例1:ほくろ

例1 : まぶたのほくろです。切除した後、あえて縫わずに自然に傷が治るのを待ちました。(オープントリートメント)

例1:ほくろ

例1 : まつ毛の乱れは起きませんでした。

 


<例2>

例2:ほくろ

例2 : 頬のほくろです。飛び出た部分のみ削りました。

例2:ほくろ

例2 : 傷跡は残っていますが、ほとんど目立ちません。

 


<例3>

例3:ほくろ

例3 : 太もものほくろです。切除して縫い寄せました。

例3:ほくろ

例3 : ほくろが大きい場合は傷跡がある程度目立ちます。最終的には白い線状の跡になります。

 

ページトップへ

粉瘤(アテローム、表皮嚢胞:Epidermal cyst)

症状:
皮膚が袋状になり、内部に垢がたまった物です。脂肪のかたまりと言われることがありますが、実際は垢のかたまりです。放置していると、少しずつ大きくなってきます。また、化膿して痛くなったり膿が出てきたりすることもあります。
粉瘤:症状

放置しておくと徐々に大きくなり、10cmを超える事もあります。

治療:
治療法としては切除しかありません。小さいうちに切除する方が手術時間も短く傷跡も小さくなりますので、早めの手術をお勧めしています。

<例>

例:粉瘤1

ほほにできた粉瘤です。

例:粉瘤2

傷跡が目立たないよう、しわの向きに沿って切除します。

 
例:粉瘤3

切除した粉瘤です。袋状になっています。

例:粉瘤4

傷跡は残りますが、時間が経てば目立たなくなります。

 

ページトップへ

脂肪腫(Lipoma)

症状:
脂肪細胞が増殖する腫瘍です。自覚症状はあまりありませんが、少しずつ大きくなることがほとんどです。ほとんどの場合は良性ですが、大きくなるにつれて悪性化しやすくなるので、早めの手術をお勧めしています。
治療:
なるべく小さい皮膚切開で摘出するようにしています。脂肪腫が小さい場合は局所麻酔でも可能ですが、大きい場合は全身麻酔が必要になることがあります。
 

<例>

例:脂肪腫1

あごの下の脂肪腫です。

例:脂肪腫2

脂肪腫が周囲と癒着していない場合は、小さい切開でも摘出できます。

例:脂肪腫3

手術終了時です。小さな傷で済みました。

ページトップへ

皮膚がんの再建

定義:
主な皮膚がんとして、基底細胞癌、扁平上皮癌、悪性黒色腫、マイボーム腺癌などがあります。治療は基本的に切除が中心となります。
治療:
皮膚がんを切除した場合、小さいものであればぬい寄せることができます。しかし、無理にぬい寄せると変形が起きたり傷跡が目立ったりすることがあります。その場合は、近くの皮膚をずらしてふさぐ手術(局所皮弁術)を行います。
 

<例1>

例1:皮膚がんの再建1

上まぶたに病変があります。

例1:皮膚がんの再建2

額の皮膚を移動して再建しました。(皮下茎皮弁)

例1:皮膚がんの再建3

まぶたの変形も無く、傷跡もあまり目立ちません。

 

<例2>

例2:皮膚がんの再建1

下まぶたに病変があります。まぶたの表裏両面(皮膚と結膜)を再建する必要があります。

例2:皮膚がんの再建2

目の横の皮膚を移動して皮膚を再建しました。(外側眼窩皮弁)さらに、口の中の粘膜を移植して結膜を再建しました。

 
例2:皮膚がんの再建3

手術終了時です。

例2:皮膚がんの再建4

まぶたの変形や傷跡はあまり目立ちません。

 
 

<例3>

例3:皮膚がんの再建1

ほほに大きな病変があります。

例3:皮膚がんの再建2

近くの皮膚をずらして再建しました。(V-Y前進皮弁)

例3:皮膚がんの再建3

傷跡は残りますが、時間が経てば目立たなくなります。

ページトップへ

眼瞼下垂(Blepharoptosis)

症状:
眼瞼下垂(がんけんかすい)とは、まぶたが下がってきて、前が見づらくなる状態のことです。前が見づらくなると、物を見るのにとても疲れてしまいます。さらに、肩こり、頭痛、不眠など、色々な症状が出ることもあります。
見た目についても問題が起きます。まぶたの開き方が左右で違うと、非常に目立ちまます。また、額に力を入れて無理にまぶたを開けようとしてしまうため、額に深いしわができてしまいます。
治療:
治療は、基本的に手術になります。美容目的の手術ではありませんので、費用については健康保険が使用できます。日帰り手術も可能です。通院が大変な方や、一人暮らしで不安な方は、1泊入院することもできます。

手術について

眼瞼下垂の主な原因は2つあります。原因によって手術法が変わります。

(1)除皺術(余剰皮膚切除術)

 老化とともに、上まぶたの皮膚がたるんで垂れ下がってきます。そうすると、目の前を覆ってしまい、前が見づらくなります。その場合は、たるんだ皮膚を切除します。
 どうやって切除するかで2通りに分かれます。

 

(A)二重まぶたの線に沿って皮膚を切除する。

傷あとは二重まぶたで隠れるため、ほとんど分からなくなります。

  • 長所:皮膚のたるみが多くても問題ない。
  • 短所:一重まぶたの人には不向き。腫れぼったいまぶたになりやすい。

<例1>

例1:除皺術1

上まぶたの皮膚が垂れ下がり、完全に目にかぶさっています。

例1:除皺術2

余った皮膚を切除して縫い寄せました。

例1:除皺術3

まぶたがしっかり開くようになりました。

(B)眉毛の下で皮膚を切除する。(拡大眉毛下切除術)

傷あとは眉毛で隠れるため、ほとんど分からなくなります。眉毛は少し細くなりますが、実際はさほど目立ちません。

  • 長所:すっきりした自然なまぶたになりやすい。
  • 短所:皮膚のたるみが多いと、不十分な結果になる。

<例2>

例2:除皺術1

軽度の眼瞼下垂です。

例2:除皺術2

眉毛の下の皮膚を切除しました。

例2:除皺術3

傷跡は眉毛で隠れるため、時間が経つとほとんど目立たくなります。

(2)眼瞼挙筋前転術

 眼瞼挙筋(がんけんきょきん)とは、まぶたを開けるための筋肉です。眼瞼挙筋の力が弱くなったり、瞼板(まぶたの軟骨)から外れてしまったりすると、まぶたを十分に開くことができなくなります。老化、コンタクトレンズ、白内障手術、緑内障の点眼薬などが原因となります。

 二重まぶたの線に沿って皮膚を切開し、眼瞼挙筋を探し出します。眼瞼挙筋をいったん切り離し、前方に引き出して縫い付けます。力を入れなくてもまぶたを上げることが可能になります。

<例(コンタクトレンズによる眼瞼下垂)>

例1:眼瞼挙筋前転術1

まぶたが左だけ下がっています。二重のラインも崩れています。眼瞼挙筋前転術を行いました。

例1:眼瞼挙筋前転術2

手術後です。ほぼ左右対称になりました。

 

<例(加齢による眼瞼下垂)>

例2:眼瞼挙筋前転術1

両側とも眼瞼挙筋の力が低下しているだけでなく、皮膚もたるんでいます。額に深いしわができています。

例2:眼瞼挙筋前転術2

眼瞼挙筋前転術に加え、たるんだ皮膚も切除しました。

例2:眼瞼挙筋前転術3

手術後です。両目とも十分に開くようになりました。額のしわも浅くなりました。

ページトップへ

睫毛内反、眼瞼内反(逆まつ毛)

症状:
まつ毛が内側を向いてしまうと、眼球に当たって痛み・かゆみが起こります。厳密には、まつ毛だけが内側を向いてしまう睫毛内反と、まぶた全体が内側を向いてしまう眼瞼内反とに別れます。
治療:
まつ毛を定期的に抜くという手もありますが、根本的解決にはなりません。まつ毛を電気で焼いて生えなくする方法もありますが、数回にわって繰り返す必要があり、まつ毛も薄くなってしまいます。

1、睫毛内反

 まつ毛だけが内側を向いている状態です。主に未成年にみられます。年齢とともに改善することもありますが、長引くと視力に影響が出ることもあります。

 美容目的ではありませんので、手術は健康保険が使用できます。日帰り手術で可能です。手術法は、上まぶたと下まぶたで異なります。

 

【下まぶた(Hotz変法)】

下まぶたの皮膚を切除し、皮膚と瞼板(まぶたの軟骨)とを縫い寄せます。まつげが引っ張られて外側を向きます。傷跡は時間が経てばほとんど分からなくなります。

<例>

例1:睫毛内反1

手術前

例1:睫毛内反2

手術直後

例1:睫毛内反3

まつ毛が外側を向きました。傷跡も目立ちません。

 

【上まぶた(重瞼)】

 上まぶたの皮膚を切って縫い付けることによって、二重まぶたにします。そうすると、まつげが外側を向きます。傷跡は二重まぶたに隠れてほとんど分からなくなります。

 皮膚をほとんど切らずに糸で縫うだけの方法(埋没法)もあります。簡単でやり直しもしやすいですが、外れて元に戻ってしまう事が多いです。

 しっかり切って二重まぶたの線を作る手術(切開法)の方が、確実性は高いです。

<例>

例2:睫毛内反1

手術前

例2:睫毛内反2

上下にさかまつげがあったため、同時に手術を行いました。

例2:睫毛内反3

上下ともまつ毛が外側を向きました。

2、眼瞼内反

 まつ毛だけでなくまぶたまで内側を向いている状態です。老化が主な原因であるため高齢者がほとんどです。大部分の場合は下まぶただけに起こります。最近では眼瞼下垂との関連性もあると言われています。

 当院では、LERs’ advancement(Lower eyelid retractors’ advancement、柿崎法)を主に行っています。下まぶたを支える膜(下眼瞼牽引筋筋膜)のたるみを修復する手術です。再発率は数%であり、最も再発率の低い手術の一つです。傷跡は時間が経てばほとんど分からなくなります。

 
例:眼瞼内反1

まぶたが内側に引き込まれ、まつげが眼球に当たっています。

例:眼瞼内反2

まぶたが外側を向いて、まつげが眼球に当たらなくなりました。

 

ページトップへ

顔面神経麻痺(Facial palsy)

症状:
顔面神経とは顔を動かす神経です。外傷、腫瘍、ウイルスなどで神経が傷つくと、顔の動きが悪くなってしまいます。見た目が左右非対称になるだけでなく、目が閉じられず乾く、眉毛が下がって目が開けづらくなる、口から水や食べ物がこぼれる、などの症状が起こります。
治療:
自然に回復することもありますが、回復が不十分な場合は手術が必要となることもあります。

1、下眼瞼外反

 下まぶたが垂れ下がって、目が乾いてしまいます。下まぶたを横向きに引っ張る手術を行います(Lateral tarsal strip、Kuhnt-Szymanowski Smith変法など)。

<例>

例:下眼瞼外反1

下まぶたが垂れ下がり外側を向いて、目が閉じられなくなっています。まぶたの横幅を短縮する手術を行いました。

例:下眼瞼外反2

手術後です。目が閉じられるようになり、見た目も自然になりました。

 

2、眉毛下垂

 眉毛を引き上げる筋肉(前頭筋)が麻痺するため、眉毛が下がってまぶたが開けづらくなります。眉毛を引き上げる手術を行います。

<例>

例:眉毛下垂1

眉毛が下がっています。眉毛の上側の皮膚を引っ張り上げました。

例:眉毛下垂2

手術後です。左右対称に近づきました。

 

ページトップへ

乳がん(乳房再建)

定義:
乳がんの手術で失われた乳房を再建する手術です。乳がん患者の増加、乳房再建に対する意識の高まりを受け、乳房再建を希望される患者数は年々増加しております。
 

乳房再建は、タイミングによって大きく3つに分類されます。

  • 一次一期再建
    乳がんの切除手術と同時に再建をします。
  • 一次二期再建
    乳がんの切除を一旦行い、後日改めて再建します。
    その間はエキスパンダー(風船)を入れて乳房の皮膚がしぼまないようにします。
  • 二次再建
    以前の手術で失った乳房を再建します。
 

また、再建する方法によって大きく2つに分類されます。

  • 自家組織
    自分の皮膚・脂肪・筋肉を使用して再建します。
    主に、背中か腹部を使用します。(広背筋皮弁、DIEP flap)
  • インプラント(人工物)
    シリコンバッグを使用して再建します。

 従来は自家組織を使用した再建のみが健康保険の対象であり、インプラントによる再建は全額自費になっておりました。しかし、2013年からインプラントによる再建も健康保険の対象となり、ハードルが低くなりました。

 自家組織とインプラントのどちらにするかは、ご本人のライフスタイル・乳房の形などを踏まえご本人と話し合って決めています。がんの切除と再建をできるだけ同時に行い、手術が1~2回で終わり体への負担が軽くなるようにしています。

ページトップへ

顔面の外傷

症状:
顔面の外傷はしっかりと初期治療を行わないと、見た目が目立つだけでなく機能的にも様々な問題が起こります。

1、すり傷(挫創、擦過傷)

すり傷については、創傷被覆材を貼って治療します。創傷被覆材とは、傷を適度に湿った環境にして傷の治り方を良くするものです。

浅いすり傷は1~2週間で傷跡を残さず治りますが、深いすり傷は時間がかかり傷跡も残ります。傷跡が目立つ場合は追加で治療することもあります。

<例>

例:すり傷1

顔のすり傷です。

例:すり傷2

創傷被覆材(デュオアクティブET)を貼り付けました。自宅でも簡単に交換できます。

例:すり傷3

1週間後です。ほとんど治っております。

2、切り傷(切創、割創)

切り傷については、細い糸を使用し、できるだけ丁寧に縫合します。傷跡を完全に消すことはできませんが、なるべく目立たなくなるように配慮しています。

<例>

例:切り傷1

位置がずれないよう注意しながら細かく縫合しました。

例:切り傷2

位置がずれないよう注意しながら細かく縫合しました。

 

3、顔面骨骨折

ずれが少なく症状があまり無い場合は手術をせずに様子を見ます。手術が必要な場合は時期が早い方が結果が良くなりやすいため、できるだけ1~2週間以内の手術をお勧めしています。骨折を整復し、必要に応じてプレートで固定します。

【頬骨骨折】
ほほの骨の骨折です。ほほの陥没、ほほの痺れ、口が開けにくくなる、などの症状が起こります。

頬骨骨折

【鼻骨骨折】
鼻の骨の骨折です。鼻の変形(曲がる、低くなる)、鼻づまりなどの症状が起こります。

鼻骨骨折

【眼窩底骨折(眼窩吹き抜け骨折)】
目を包んでいる骨の骨折です。複視(物が二重に見える)、眼球の陥没などの症状が起こります。

眼窩底骨折(眼窩吹き抜け骨折)

ページトップへ

手の外傷

治療:
手の外傷については整形外科と協力しながら治療を行います。皮膚や脂肪が欠損するような外傷については、形成外科が主体となります。

<例1>

例1:手の外傷1

指の先端(指尖部)を機械で挟んだ方です。骨が一部露出しています。指を短くする手術(断端形成術)を避け、創傷被覆材によって治療を行いました。

例1:手の外傷2

反対側と比べ、わずかに短くなるだけで済みました。

例1:手の外傷3

指紋も残っています。物をつかむ事も問題なくできます。

<例2>

例2:手の外傷1

中指の皮膚が欠損し、腱が露出していました。

例2:手の外傷2

隣の人差し指から皮膚と脂肪を移動させて傷を塞ぎました。(指動脈皮弁)人差し指には皮膚移植を行いました。

例2:手の外傷3

手術後です。

ページトップへ

傷跡、ケロイド

治療:
手術やケガによって、傷跡が残ることがあります。傷跡は単に見た目の問題だけではありません。 痛み・かゆみ・関節のひきつれが出ることもあります。 その場合は、治療の対象となることがあります。美容目的ではありませんので、健康保険も使用できます。

1、傷跡の修正

皮膚に余裕がある場合は、傷跡を切除してジグザグに縫い直します(Z形成術、W形成術)。傷跡の向きが変わり、細かく分断されます。その結果、人間の目には傷跡として認識しづらくなります。消える訳ではありませんが、目立たなくなります。範囲が小さければ、日帰り手術でも可能です。

<例1>

例1:傷跡の修正1

凹凸がある傷跡で、非常に目立ちます。

例1:傷跡の修正2

W形成術とZ形成術を併用しました。

 
例1:傷跡の修正3

手術終了時です。

例1:傷跡の修正4

傷跡はほとんど分からなくなりました。

 

皮膚のひきつれが強い場合は、見た目だけでなく関節の動きにも影響します。その場合はひきつれを解除する必要があります。

 

<例2>

例2:傷跡の修正1

傷あとが盛り上がっています(肥厚性瘢痕)。痛みやかゆみが出るだけでなく、親指がひきつれてそり返っていました。

例2:傷跡の修正2

連続Z形成術を行いました。症状は消え、見た目もきれいになりました。

 

手の平の熱傷後のひきつれなど皮膚の不足が大きい場合は、皮膚移植を行わざるを得ません。

 

<例3>

例3:傷跡の修正1

中指、薬指、小指がひきつれています。指を十分に伸ばすことができません。

例3:傷跡の修正2

皮膚は場所によって大きく性質が異なります。手の平と足の裏は性質が似ているため、土踏まずから皮膚を採取しました。

 
例3:傷跡の修正3

皮膚を移植したところです。皮膚がかなり不足していたことが分かります。

例3:傷跡の修正4

1年後の状態です。指が伸ばせるようになりました。色つやが似ているため傷跡も目立ちません。

例3:傷跡の修正5

皮膚を採取した土踏まずに傷跡は残ってしまいますが、目立たなくなるような工夫をしています。歩行には影響ありません。

2、ケロイド

 ケロイドは、傷跡が赤く盛り上がったものです。通常の傷跡とは違い、元々の大きさよりも広がってしまうのが特徴です。 できやすい場所としては、胸部、肩、腹部、耳などがあります。ケロイドができる原因ははっきり分かっておりませんが、できやすい体質の方はおられます。

 治療法としては、以下のようなものがあります。

  • 圧迫(シリコンジェルシート、スポンジなど)
  • ステロイドテープ
  • ステロイド注射
  • 手術+電子線治療

 最初は負担が軽い治療から始め、改善してこない場合に手術を行います。

<例1>

例1:ケロイド1

耳のケロイドです。ピアスが原因となることが多いです。

例1:ケロイド2

なるべく皮膚を温存しながら、ケロイドを切除しました。手術後に電子線治療を行いました。

例1:ケロイド3。

再発は起こりませんでした。耳の形も良好です。

 

<例2>

例2:ケロイド1

腹部のケロイドです。ケロイドが最もできやすい場所の一つです。痛みや痒みも伴いました。

例2:ケロイド2

ケロイドを切除し、S字に縫い寄せました。

例2:ケロイド3

再発は起こりませんでした。痛みも消失しました。

ページトップへ

熱傷(やけど)

定義:
熱傷は深さによって、1度、2度、3度に分類されます。ただし、ケガをしてすぐには深さを判定することは困難です。
治療:
2度までの熱傷は2週間程度で治り、傷跡も残らないことが多いです。そのため、2週間は手術をせずに創傷被覆材を貼って様子を見ることが多いです。
3度熱傷になると傷跡が必ず残ります。3度熱傷も範囲が狭ければ手術なしで治りますが、数週間~数ヶ月かかります。範囲が広かったり関節にかかっていたりするようであれば、皮膚移植などの手術をする必要があります。
 

<例>

例1:熱傷1

足の裏の熱傷です。ケガをした直後の状態です。

例1:熱傷2

1週間後の状態です。深い部分は黒く変色しており、3度熱傷です。範囲が狭いため、入院や手術はせずに創傷被覆材を貼って様子を見ました。

例1:熱傷3

3ヶ月後の状態です。傷跡は残っていますが、あまり目立ちません。

ページトップへ

褥瘡(床ずれ)

定義:
高齢で寝たきりの方や、下半身に麻痺がある方にできやすいです。近年は予防がしっかりされるようになり、発生することは少なくなってきました。
症状:
時間をかければ自然に塞がってくることも多いですが、なかなか治らない場合は手術になることもあります。ただし、いったん治ってもしばしば再発します。また、手術によって体に負担がかかるケースもあります。そのため、手術をするか慎重に判断する必要があります。
治療:
手術としては、薄い皮膚を移植する手術(植皮術)、厚みのある皮膚と脂肪を移植する手術(皮弁術)があります。
 

<例1>

例1:床ずれ1

お尻にできた褥瘡です。最もできやすい場所の一つです。一見小さく見えますが、皮膚の下に隙間(ポケット)があり、実際はかなり大きいです(点線の範囲)。

例1:床ずれ2

傷が大きいと、縫い寄せるのは困難です。周囲の皮膚と脂肪をずらしてきて縫い寄せました。(Dufourmental flap)

例1:床ずれ3

手術後約10日で傷はふさがりました。

 

<例2>

例2:床ずれ1

転子部(太ももの外側)にできた褥瘡です。車椅子を使用している方にできやすい場所です。周囲の皮膚と脂肪を180°回転させました(プロペラ穿通枝皮弁)

例2:床ずれ2

手術終了時です。

例2:床ずれ3

厚みのある皮膚と脂肪がクッションとなり、再発が抑えられています。

ページトップへ

足の皮膚潰瘍

症状:
糖尿病、動脈硬化、透析などが原因で足の血流が悪くなると、皮膚潰瘍ができることがあります。悪化すると足を切断せざるを得なくなり、義足や車椅子が必要になります。
単純に傷の処置や手術をするだけでは治らないことが多いため、形成外科だけでなく他の診療科と協力しながら治療を進めなければいけません。
糖尿病がある場合は、まず糖尿病の治療をしっかり行うことが必要です。
治療:
足の動脈に狭窄や閉塞がある場合は、まず血流を改善する必要があります。血流を改善する方法としては、薬剤、バイバス手術、カテーテル治療(EVT: Endovascular Treatment)などがあります。
 

<例1>

例1:足の皮膚潰瘍1

糖尿病性皮膚潰瘍です。壊死組織が付着しています。

例1:足の皮膚潰瘍2

壊死組織が少しずつ取れてきて、肉芽で覆われてきました。

例1:足の皮膚潰瘍3

治療終了時です。

<例2>

例2:足の皮膚潰瘍1

重症下肢虚血(CLI: Critical Ischemia)の患者です。まず血管外科でバイパス手術を行いました。その後、壊死した指のみ切断しました。

例2:足の皮膚潰瘍1

小範囲の切断に留めることができました。

 

ページトップへ

その他の皮膚潰瘍

1、外傷による皮膚潰瘍

<例>

例:外傷による皮膚潰瘍1

アキレス腱が露出した、踵の外傷です。

例:外傷による皮膚潰瘍2

ふくらはぎの皮膚を移動して再建しました。(逆行性腓腹皮弁)

例:外傷による皮膚潰瘍3

手術後です。

2、化膿性関節炎による皮膚潰瘍

<例>

例:化膿性関節炎による皮膚潰瘍

肘の潰瘍です。関節の化膿によりできたものです。

例:化膿性関節炎による皮膚潰瘍

上腕の皮膚を移動して再建しました。(外側上腕皮弁)

 

ページトップへ

陥入爪、巻き爪(Incureved nail)

定義:
爪が曲がって食い込むと痛みが出ることがあります。化膿すると痛みが更に強くなります。厳密には、爪の一部が食い込んでいるものを陥入爪、爪全体が巻いているものを巻き爪、と分類されます。
原因としては、深爪、爪白癬(水虫)、きつい靴などが挙げられます。治療法としては以下のようなものがあります。

1、フェノール法

食い込んでいる爪の端を抜きます。爪がまた生えてきて再発しないよう、爪の根元を薬品(フェノール)で処理します。
麻酔の注射が必要ですが、術後の痛みはそれほど強くありません。術後の処置は自宅でも可能ですので入浴もできます。安静も特に必要ありません。2~3週間で傷はふさがります。

 
長所:
再発率が低い。(約5%未満)
短所:
局所麻酔や傷の処置が必要。
爪の幅が細くなってしまう。
 

<例>

例:フェノール法1

陥入爪です。食い込んでいる爪の端を抜きました。

 
 
例:フェノール法2

爪を抜いたところです。

例:フェノール法3

フェノールを染み込ませた綿棒で、爪の根元(爪母)を処理しました。

例:フェノール法4

手術終了時です。

2、爪矯正

爪に形状記憶合金ワイヤーを通し、ワイヤーの復元力を利用して爪を少しずつ平坦にします。治療が完了するまで1~数ヶ月かかりますが、痛みは治療開始直後から無くなることが多いです。

長所:
局所麻酔や傷の処置が不要。
爪の幅が細くならない。
短所:
再発しやすい。
治療期間が長くなる。
 

<例>

例:爪矯正1

高度の巻き爪です。治療前です。

例:爪矯正2

ワイヤーを入れた直後から爪が広がりました。

例:爪矯正3

治療後です。爪が平坦になり、痛みもなくなりました。

ページトップへ

耳介の先天異常

1、埋没耳、袋耳(Cryptotia)

耳の上側が埋まっている状態です。見た目の問題だけでなく、眼鏡・マスクが装着できないという問題があります。
生後1年以内であれば、手術せずに矯正で治ることもあります。矯正で治らない場合は手術になります。
 

<例>

例:埋没耳、袋耳1

耳の上側が埋まっています。

例:埋没耳、袋耳2

皮膚を切開して、くっついている軟骨を引っ張り出します。

例:埋没耳、袋耳3

埋まっていた部分が飛び出しました。

2、副耳(Accessory auricle)

母親のお腹の中で耳の形ができあがっていく際に消えるべき所が残ってしまったものです。皮膚や軟骨が飛び出ているだけで、悪性化することもありません。問題になるのは見た目だけですので、手術時期はご本人やご家族の希望によります。
小さい子供の場合は全身麻酔での手術になるので、入院が必要です。小学生ぐらいになってご本人の協力が得られれば、日帰り手術(局所麻酔)も可能です。
 

<例>

例:副耳1

手術前

例:副耳2

手術後

 

3、耳垂裂(Cleft lobule)

耳たぶの一部が裂けている状態です。生まれつきの場合(先天性)と、ピアスが原因でなる場合(後天性)とがあります。
自然と治ることはありませんので、見た目が気になる場合は手術になります。
 

<例>

例:耳垂裂1

耳たぶの一部が裂けています。また、耳たぶの位置が低くなっています。

例:耳垂裂2

裂けた部分を切って縫い直しました。耳たぶの位置も高くしました。

 
例:耳垂裂3

手術直後です。

例:耳垂裂4

正常に近い形になりました。

 

ページトップへ

手足の先天異常

1、多合趾症(Polysyndactly)

足の指が生まれつき多かったりくっついたりしている状態です。歩行にはほとんど影響がないため、主に見た目の問題になります。1歳前後で手術することが多いです。
 

<例>

例:多合趾症1

小指と薬指がくっついており、さらに余分な指が1本あります。

例:多合趾症2

くっついた部分を分離し、余分な骨と爪を切除しました。

 
例:多合趾症3

皮膚を縫い寄せきれない部分は、くるぶしから皮膚を移植しました。

例:多合趾症4

手術後です。正常に近い形になりました。

 

2、合指症(Syndactly)、裂手症(Cleft hand)

手の指が生まれつきくっついていたり離れすぎていたりしている状態です。手の指を動かしにくくなることが多いため、1歳前後で手術することが多いです。
 

<例>

例:合指症、裂手症1

人差し指と中指の皮膚がくっついています。中指と薬指は離れすぎています。

例:合指症、裂手症2

くっついた部分を分離し、皮膚を移植しました。離れすぎていた部分は縫いよせました。

例:合指症、裂手症3

手術後です。正常に近い形になりました。

ページトップへ

でべそ(臍ヘルニア、臍突出症)

定義:
臍が飛び出た状態です。厳密には、お腹の筋肉に穴が空いていて飛び出ているものを臍ヘルニア、筋肉に穴は開いておらず皮下組織が飛び出ているものを臍突出症、と分類されます。腸がはまりこんで症状が出ることは稀ですので、主に見た目の問題になります。
治療:
生後1年以内なら、手術せずに圧迫するだけで治ることが多いです。何もしなくても少しずつ消えてくることもあります。改善しない場合は手術するか検討します。とび出たへそを奥に押し込み、くぼんだ形を作ります。
 

<例>

例:でべそ1

手術前です。

例:でべそ2

皮膚をS状に切開して、縫い直しました。(梶川法)

例:でべそ3

手術後です。正常に近い形になりました。

ページトップへ

わきが(腋臭症:Axillary osmidrosis)

定義:
わきにあるアポクリン汗腺から出る汗が原因で臭いが発生します。遺伝的に決まるものであり、世界全体では腋臭症の人の方が圧倒的に多数派ですが、日本では少数派であるため問題になります。
症状:
自臭症(自分の臭いが他人に迷惑をかけて自分が嫌われているのだと思い込む恐怖症)が疑われる場合は、カウンセリングを受けるようご紹介することもあります。
治療:
わきがの治療法として、手術、制汗剤、レーザー脱毛、マイクロ波、ボトックス注射などがあります。治療効果、手軽さ、費用など、それぞれ一長一短があります。当院では行っていない治療法もあります。どの治療法であっても臭いが完全になくなるわけではありません。治療後しばらくして再発してくることもあります。

当院で行っている治療法

(1)制汗剤(塩化アルミニウム)

1日1回、わきに塗ります。汗腺の出口がフタをされ、汗の量が減ります。最も手軽です。ただし、対症療法であり根治はしません。かぶれる場合もあります。

(2)手術(皮弁法)

わきの皮膚を大きく切開し、皮膚の裏側をはがします。汗腺を直接確認しながら切除します。出血が中にたまらないようにドレーンを入れてしっかり圧迫します。
わきがの治療としては最も確実性が高い方法の一つです。保険診療(約10万円)で可能です。
ただし、術後の安静が重要ですので、数日間の入院が必要です。術後1週間はわきを動かさないように包帯で固定します。その間は胸から下のみ入浴できます。長い傷跡は残ります。また、合併症(血腫、皮膚壊死)が時々起こります。

<例>

例:手術(皮弁法)1

手術前

例:手術(皮弁法)2

手術直後

例:手術(皮弁法)3

長い傷跡が残ります。

ページトップへ

外来診療

外来受付時間

初診 午前8:00~午前11:00
再診 午前8:00~

診察時間

診察開始 午前8:30~午前11:00

休診日

土・日曜日、祝日
年末年始
※救急の場合は上記の限りではありません。

086-262-0131 外来担当医表 交通案内