外来診療
外来受付時間
初診 | 午前8:00~午前11:00 |
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再診 | 午前8:00~ |
診察時間
診察開始 | 午前8:30~午前11:00 |
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休診日
土・日曜日、祝日
年末年始
※救急の場合は上記の限りではありません。
診療科・センター
婦人科
方針
しっかりとした「説明と同意」に基づいた診療を心がけ、患者様に安全で安心いただける医療を目指します。
特色・専門
中高齢女性のQOL向上目指して!
婦人科診療全般に広く対応していますが、なかでも特に女性骨盤低領域疾患に重点をおいた診療を行っています。欧米の研究報告によれば、経膣分娩を経験した女性の3~4割程度に骨盤臓器脱が見られ、1割強の女性が80歳になるまでに骨盤臓器脱または尿失禁に対する手術療法を受けるとされています。これからますます高齢化社会へと向かう日本、我が国でもこのような悩みを持つ女性はさらに数を増すと考えられています。
当科では2006年12月より、メッシュを用いた新たな骨盤臓器脱や尿失禁手術を行っており、岡山市内はもとより県内各地、さらには県外からも数多くの患者様を受け入れてきました。
診療内容
婦人科
以下に示すような婦人科全般にわたる疾患の診療を行っております。
- 子宮癌検診
- 婦人科良性、悪性疾患
- 思春期女性ホルモン異常(月経異常)等
- 更年期障害、骨粗鬆症
- 性感染症
- 不妊症
- 性器脱(骨盤臓器脱 : POP)
主な疾患の紹介
- 思春期女性ホルモン異常(月経異常, 月経痛)等
POP(骨盤臓器脱)
女性骨盤底外来
多くの女性が骨盤臓器脱の症状に悩みながら毎日を送っていらっしゃいます。骨盤臓器脱に伴う症状は前述のように多種多様です。当院で治療を受けていただいた患者様にアンケートをとっておりますが、治療後、快適になった、友達と温泉旅行に行けるようになった、などと満足していらっしゃるようです。
現在当院では、毎週水曜日の午後、女性骨盤底外来にて、骨盤臓器脱治療前後の診察を実施しております。ご自分の症状が骨盤臓器脱に当てはまるかどうか自信がない方、恥ずかしさのあまり受診を躊躇されている方、骨盤臓器脱の治療後に膣断端脱(膣脱)が生じ諦めている方、まずはご都合の良い日に産婦人科を受診してみてください。
女性骨盤底外来開設の経緯
膣から何か脱出している、と感じていても、どの診療科を受診してよいのかわからない、あるいは、子宮が下がっている、ということを恥ずかしく感じて、なかなか周囲の人に相談したり、病院を受診することができない、という女性が多いと思われます。また、「子宮摘出後に膣脱(膣断端脱)や膀胱瘤が生じたものの、子宮脱は治ったからと、取り合ってもらえなかった」というケースや、泌尿器科を受診し排尿の症状については治療がなされたものの、骨盤臓器脱については対応がなされず、患者様に我慢をしていただくようなこともあるようです。
当院では、患者様の「どうにかしてこの悩みを解消したい」というご希望に応えるべく、毎週水曜日の午後、骨盤臓器脱の専門外来として、骨盤臓器脱治療前後の診察を産婦人科専門医*1の共同診療、泌尿器科専門医併診で実施しております。
*1:現在は院外別クリニックでの診療となっています
骨盤臓器脱の頻度
- わが国での骨盤臓器脱の罹患についての統計データはありませんが、欧米の研究によれば、経膣分娩を経験した女性の約3割程度に骨盤臓器脱が見られるといわれます。
- 当院で骨盤臓器脱の治療を受けた骨盤臓器脱の患者様107人のうち、未産婦のかたは1名のみでした。
- 米国女性の11.1%が80歳になるまでに骨盤臓器脱または尿失禁に対する手術療法を受けるとされています。
- スウェーデンでは、出産を経験した女性の44%に骨盤臓器脱がみられるが、診察を受けていない女性もその他多数あると推定されています。
- 骨盤臓器脱の症状で困っていても、恥ずかしさから医療施設を受診できずに悩んでいるのは、日本でも海外も事情は同じようです。
骨盤臓器脱の原因
骨盤臓器脱は、骨盤臓器のヘルニア
- (問) 骨盤臓器脱はヒトにだけ認められる疾患か?
- (答) 二足歩行を行うようになって獲得 (?)した疾患である
ヒトが2足歩行を始めたことで、骨盤の一番低い部分 (骨盤底)に内臓の重みを含めた強い圧力が絶えずかかります。この圧力を支えるために、女性の骨盤内には子宮を中心にして強靭な靭帯と呼ばれる構造が縦横にはりめぐらされています。さらに骨盤底の筋群 (骨盤底筋)などが骨盤底を支持しています。
ところが、ヒトは出産時にその骨盤の大きさに対し過大な赤ちゃんを分娩するため、産道となった子宮の下部、膣、骨盤底の諸靭帯や骨盤底筋は少なからず傷つくこととなります。この傷は産褥期 (分娩後1〜2ヶ月)にほぼ癒えてゆきます。しかし、閉経を迎えると、女性ホルモンの減少も影響して諸靭帯・骨盤底筋の支持力が全般的に低下して骨盤臓器脱が発生すると考えられます。四足歩行のほ乳類では“骨盤底筋”は尻尾を動かす筋肉としてのみ存在しており、“骨盤底”に圧力がかからないので、 “骨盤臓器脱”は生じません。
また、加齢にくわえて、高度な肥満、慢性の便秘や慢性の咳をともなう呼吸器疾患などは骨盤底に加わる腹圧負荷を増強することから骨盤臓器脱発症のリスクを高める要因とされます。
骨盤臓器脱の種類
女性の正常な骨盤の状態
女性の骨盤内にある臓器は膀胱、膣、子宮および直腸です。骨盤腔の底面(足方)は骨盤底と呼ばれ、骨盤底筋群によって覆われています。骨盤内の臓器は、骨盤底筋群と骨盤結合織によって骨盤内で支持されています。
膀胱瘤
膀胱が前膣壁とともに膣口から脱出した状態です。 軽度;尿道を支える構造の弛緩により咳などで尿漏れ(腹圧性尿失禁症状)を生じることがあります。
中等度〜重度;尿もれの症状が消え、むしろ尿が出にくい、尿の勢いがないなどの排尿障害が出現します。残尿が多くなり、すぐに膀胱に尿が充満するので排尿の回数の増加(頻尿)につながります。またトイレが間に合わないなどの切迫性尿失禁症状も出やすくなります。
子宮脱
子宮が膣外に脱出した状態をいいます。子宮頸部とその前方に隣り合う膀胱は生まれつき密接に接合しているので子宮頸部が膣外に脱出してくると、通常は膀胱もある程度下垂してきます。子宮脱の症状は、脱出時に膣口周辺の違和感が強く、脱出部の子宮膣部が下着にすれて擦過傷を生じる、出血する、衛生上の問題がある、子宮全体が下方に移動すると下腹部の違和感、下腹部痛などの症状も出現します。
直腸瘤
肛門の奥は直腸ですが、この直腸の壁がふくれて後膣壁とともに膣入口から脱出した状態を直腸瘤といいます。直腸瘤が高度の場合にはこの膨らんだ部分に便がたまり、排便時にいきみをかけてもうまく排便できないことがあります。
直腸内に残った便は水分を吸収されて硬さをまして、いっそう排便しがたくなり、便秘症状は強くなります。便秘になるとさらに強くいきむので、そのため直腸瘤の脱出がさらに強くなるという悪循環になってしまいます。
膣断端脱
子宮筋腫などの理由で子宮を摘出した後に、膣の一番奥の部分が脱出しているものを膣断端脱といいます。しばしば、手術で子宮をとっているのに子宮が出てきた、あるいは子宮を摘出しているのに、脱出するはずがないなどという誤解をもたれることがあります。膣断端も支えが弛緩していれば容易に脱出を生じます。また、この膣断端脱の嚢内に小腸が嵌入しているものを小腸瘤といいます。
骨盤臓器脱の検査、診断、評価
婦人科的検査
内診によって臓器脱の程度を調べるとともに、経膣超音波検査や子宮頸部および体部の癌検診を行い、子宮温存が可能な状態かどうかを調べます。
泌尿器科的検査
チェーン膀胱尿道造影検査では膀胱下垂の程度や膀胱と尿道の関係を形態的に確認・記録します。尿流動態検査で単位時間当たりの排尿量を調べます。また、尿失禁症状が見られるときは必要に応じてパッドテストや咳テスト(咳によって失禁が生じるかどうか)を行います。
膀胱造影
正常
膀胱瘤
骨盤臓器脱の治療
- 軽症の場合、一定期間の経過観察とするか、あるいは骨盤底筋体操の指導が行われることがあります。
- 骨盤臓器脱が中等症あるいは重症となり、前述のような自覚症状も出現し、診察上手術の適応があると考えられる場合は、根本的な治療として手術療法が考えられます。手術療法にはメッシュ手術と、他の多くの施設でもおこなわれている従来法によるものがあります。
骨盤底筋体操
弱まった骨盤底筋の収縮力を高める体操を毎日一定回数行い2、3ヶ月は続けます。子宮脱の初期の場合には有効で、症状を改善または進行を抑える効果があります。また腹圧性尿失禁の軽症の場合にも有効です。
効果が得られるのに時間がかかること、効果の程度には個人差がありますが、骨盤底筋体操自体には副作用はないことから、一度は試みてよいでしょう。しかし病状が進んだ骨盤臓器脱の場合には効果は期待できません。詳しくは、当院婦人科あるいは泌尿器科外来にてお尋ねください。
薬物療法
薬物療法は、基本的には軽度の骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁の方に用います。女性ホルモンの補充を行ったり、補中益気湯などの漢方薬の処方を行います。また、排尿症状に対しては、泌尿器科から症状に応じた漢方も含めた内服薬が処方になります。
リングペッサリー
直径が5cmから10cm程度の大きさのドーナッツリング状の膣内挿入器具をリング式ペッサリーといいます。子宮膣部を支持し、脱出をおさえることができます。
挿入中の違和感や早期の脱出などリングペッサリー治療に不適合のケースもあります。また長期間挿入したままだと膣の炎症を生じたり、膣壁に傷がつくといったトラブルもあり、定期的なチェックが必要ですので当院では自己着脱法を原則としています。何らかの条件で手術できない場合など限られた使用、一時的な治療法といえるでしょう。
TVMメッシュ手術
外科の分野でそけいヘルニアに対して多く使用された実績のあるポリプロピレン単糸を素材としたメッシュが骨盤臓器脱の手術で使用されています。化学的に合成されたメッシュは身体の中で分解・吸収されずに残り骨盤臓器の支持組織を補強します。
前膣壁では膣と膀胱の間を (TVM-A)、後膣壁では膣と直腸との間を剥離して(TVM-P)メッシュを膣壁の下におき、その一部を骨盤内の強固な部位に通してメッシュの位置がずれないようにします。メッシュは膣の壁の一部となって強固な支えの役割を果たします。
これによりメッシュ法では子宮の温存も可能であり、術後の痛みも軽度で術後の快復も速やかです。またメッシュの強度は永続しますので従来法よりも再発が少ないとされています。
一方でメッシュによる合併症として膣粘膜へのビラン形成や、感染、疼痛などメッシュトラブルのリスクもあり、手術には慎重な適応の選択と厳重な術後管理・フォローアップが必要です。
従来法(膣式子宮全摘術ならびに膣壁形成術)
日本では現在も大多数の施設で実施されている方法で、膣から子宮を摘出し、弛緩した膣壁をある程度切除して縫い縮める方法(膣式子宮全摘術と前後の膣壁形成術の組み合わせ)です。
この方法で治療を行いますと子宮は摘出されますので以後に子宮がん等の疾患を罹患することはありません。
ただし膣壁を一部切除しますので膣がやや狭小、浅くなり術後性交渉に支障をきたす事もあります。また生来の組織を用いた修復のため術後の年数経過とともに再発リスクがメッシュ手術よりも高くなるとされています。
尿失禁防止術
- 下腹部(恥骨上)2カ所と膣壁1カ所を切開し、尿道の裏側に人口テープ(幅1cm)を通して尿道を最適の位置に支えて固定します。
- 合併症として膀胱損傷や出血などがあります。
TOT手術
- 両大腿内股の付け根に小切開を入れ、そこから尿道の裏側に人口テープを通して尿道を支えます。TVT手術より新しい手術法なので長期成績は出ていませんが、TVT手術より合併症が起きる可能性が少ない手術法です。
骨盤臓器脱手術と併行して上記の尿失禁手術を行ったり、尿失禁のみが問題の場合は尿失禁手術単独で行うなど、状況に応じて治療を行っております。
患者様について
来院患者様の背景
手術時の患者様の年齢分布は下記のグラフに示した通りです。平均年齢は66.4歳で、主に50代から70代の患者様が多い、という状況ですが、80代の方でも、重大な合併症がなく、手術が可能な方には手術を施行しています。
骨盤臓器脱症例の主訴
骨盤臓器脱患者様の来院時の症状としては、下垂感や血性帯下といった骨盤臓器脱の症状が46%、頻尿、失禁などの排尿症状が40%にみられ、骨盤臓器脱と排尿症状は密接な関係があることがわかります。
患者様の既往歴
婦人科の手術既往のない方が最も多く73%でした。また、子宮筋腫などのために腹式の子宮全摘術を受けた方が13%、骨盤臓器脱のために膣式の子宮全摘術を含む従来法の手術を受けた方が11%でした。腹圧性尿失禁も、骨盤臓器脱の発生原因と同じく、骨盤支持組織の脆弱化が原因ですが、この尿失禁に対する手術を受けた後に、骨盤臓器脱が発症した方も2%に認められました。
ペッサリー自己着脱について
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