外来診療疾患・検査詳細

脳神経外科

脳卒中

 わが国における脳卒中による死亡順位は、癌及び心臓疾患に次いで第3位です。脳卒中には脳梗塞、脳出血、くも膜下出血が含まれ、わが国にける頻度は、脳梗塞が75.4%、脳出血が17.8%、くも膜下出血が6.8%と脳梗塞が圧倒的に多くを占めています。

脳梗塞

 脳梗塞は詰まる血管の部位や詰まり方によっていくつかのタイプに分類されます。一般的にはラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞、心原性塞栓の3つに分類され、わが国では、ラクナ梗塞が31.9%、アテローム血栓性梗塞が33.9%、心原性塞栓が27.0%の頻度で発症しています(1999-2008年間の約47,700例)。

  1. ラクナ梗塞 : 穿通枝と呼ばれる細い血管が詰まり形成され、CTやMRIで大きさが1.5cm以内の比較的小さな脳梗塞をラクナ梗塞と言います。
  2. アテローム血栓性梗塞 : 主幹動脈と呼ばれる太い血管がアテローム硬化(脳動脈の粥状硬化)を起こし、狭窄や閉塞を来たし形成される比較的広範な脳梗塞を言います。
  3. 心原性塞栓 : 心臓の不整脈(心房細動)や弁膜症により心臓の中に出来た血栓(塞栓因子)が心臓から拍出され脳血管に閉塞を起こす脳梗塞を言います。発症急性期の死亡率は12.6%と高く(ラクナ梗塞0.6%、アテローム血栓性梗塞4.4%)、とても重篤化し易いタイプの脳梗塞です。

 当院ではrt-PA静脈療法による血栓溶解療法をはじめ、これら3種類の脳梗塞に対し病型別に2~3種類の治療薬を組み合わせて治療成績を向上させています。また、入院当日から積極的にリハビリテーションを導入し、早期の離床に努めています。

脳出血

 高血圧症を基礎疾患として変性を来たした細い血管が破綻し出血を引き起こします。好発部位として被殻出血、視床出血、脳幹出血、小脳出血の4つが挙げられますが、その他に皮質下出血や脳室内出血も引き起こします。

 一般的に大脳半球の出血では40ml以上の出血では緊急に開頭術による血腫の摘出術を行います。反対に15ml未満の血腫では外科的処置は行わず、内科的に保存的加療を行いますが、15-40mlの血腫に対しては低侵襲手術として局所麻酔下に定位的血腫ドレナージ術を行います。小切開の後、頭蓋骨に小孔を開けて、コンピュータ計算に従い細い管を血腫に挿入し、血腫の吸引・溶解・排出を行います。手術は局所麻酔で可能であり、開頭術に比べ短時間・低侵襲で行え、将来の後遺症(意識障害、失語症、片麻痺など)の程度を軽減出来ます。

クモ膜下出血

 主に脳血管に出来た瘤(脳動脈瘤)の破裂が原因となって脳の表面(クモ膜下腔)に出血を来たします。突然の激しい頭痛や嘔気・嘔吐で発症し、発症時に意識消失もよく見られますが、一般的に脳梗塞や脳出血のように片麻痺を伴うことはありません。発症後の経過は非常に重篤であり、治療を行っても約1/3は死亡し、約1/3には重篤な後遺症を残します。治療としては発症急性期(発症72時間以内)に出血源の処置を行います。当院ではCTによるくも膜下出血の診断の後、引き続きCTを用いて脳血管撮影(3D-CTA)を行い、可能な限り急性期の開頭・クリッピング術を行う方針としています。意識障害の程度、年齢、部位などによっては待機手術(発症後2~3週間以降でのクリッピング術)や開頭を行わずに血管の中からカテーテルを用いて動脈瘤の内部を詰めるコイル塞栓術を行います。

未破裂脳動脈瘤

 未破裂脳動脈瘤に対しては、くも膜下出血にならないための予防的治療の適否について、客観的なデータ(※)等に基づき患者様・ご家族としっかり時間をかけてご相談させていただいています。治療法としては主に開頭によるクッピング術を行います。

(※)「未破裂脳動脈瘤治療指針2003」(日本脳ドック学会)

手術適応
  1. 動脈瘤の最大径が5mm前後より大きい
  2. 年齢がほぼ70歳以下
  3. 重篤な合併症がない
  4. 10mm前後より大きい病変には強く勧められる
  5. 3,4mmの病変または70歳以上の場合でも、動脈瘤の大きさ、形、部位により個別的に判断する

髄膜腫 / 脳腫瘍(良性腫瘍)

 髄膜(脳を包む膜=硬膜やくも膜)から発生する良性の腫瘍です。全脳腫瘍の約27%を占め、やや女性に多く発生する傾向があります。症状としてはけいれんや頭痛などが認められますが、発生する部位によっては嗅覚障害や視力障害なども認められます。治療としては開頭術により摘出を行いますが、周囲の神経や血管との関係により摘出の度合いは変わってきます。また、最近では3cm以下の場合、放射線を用いた定位放射線治療(ガンマ・ナイフやサイバー・ナイフ)も行われます(当院では行っていません)。

下垂体腺腫 / 脳腫瘍(良性腫瘍)

 成長ホルモンや性ホルモンなど脳ホルモンを分泌する下垂体に発生する良性の腫瘍(全脳腫瘍の約18%を占める)です。この腫瘍の約50%はホルモンを過剰に分泌する(ホルモン産生性)ため、ホルモンの異常により発見されますが、残りの半数はホルモンを産生せず、視力・視野障害などにより発見されます。治療としては良性ですので摘出を行いますが、この腫瘍は発生部位の特性から開頭術ではなく鼻腔を通って摘出を行います。

神経鞘腫 / 脳腫瘍(良性腫瘍)

 全脳腫瘍の約10%を占め、大半は聴神経に発生します。症状としては耳鳴、めまい、聴力障害などが認められます。大きくなると小脳性の失調を来すこともあります。治療として3cm以下の場合は、定位放射線治療(ガンマ・ナイフやサイバー・ナイフ)が行われることが多いのですが、3cm以上では摘出が必要です。また、摘出と定位放射線治療との併用も行われます。

(悪性)神経膠腫 / 脳腫瘍(悪性腫瘍)

 脳実質内細胞から発生する悪性腫瘍を(悪性)神経膠腫と呼びます。全脳腫瘍の約25%を占めます。原則的にはあらゆる年齢で発生しますが、発生時期は小児期と成人に大別されます。腫瘍は圧排性・膨張性にも発育しますが、多くは脳実質内を浸潤性に発育・伸展するため、単に摘出のみでは制御できず、綿密な治療計画に基づき手術・放射線治療・化学療法・免疫療法による集学的治療を必要とします。

転移性脳腫瘍 / 脳腫瘍(悪性腫瘍)

 肺がん、乳がん、大腸がんなどの脳への転移による腫瘍です。原発のがんの治療状況を考慮した上で開頭による摘出並びに放射線療法・化学療法を行います。また、原発不明の場合も認められ、脳の転移巣を摘出した後、原発巣を検索することもあります。

頭部外傷

 交通外傷や転倒・転落などにより頭部に強い衝撃が加わり頭蓋内に血腫が形成されます。

外傷性急性硬膜外血腫

 頭蓋骨と硬膜(脳を包む硬い膜)との間に形成される血腫を言います。脳実質の損傷が少ないことが多く、早期に処置(開頭・血腫除去術)が適切に行われれば予後は比較的良好となります。

外傷性急性硬膜下血腫

 硬膜と脳との間に血腫が形成され、硬膜外血腫と異なり脳実質の損傷(脳挫傷)を伴うことが多く、早期に処置(開頭・血腫除去術)が適切に行われても重篤化しやすいのが特徴です。

脳挫傷

 脳実質が損傷され挫滅・血腫を形成します。損傷の部により意識障害、失語症、片麻痺などの症状を来たします。基本的には外科的処置の対象とはならず、合併した硬膜外血腫や硬膜下血腫の摘出を行います。

外傷性慢性硬膜下血腫

 比較的軽度の頭部打撲や転倒などの後、約1~3ヶ月程度の経過で、頭蓋骨と脳との間に徐々に血液が溜まる病気です。認知症(ボケ、物忘れ)、尿失禁、歩行障害などを主な症状として発症します。溜まった血液(血腫)が脳を圧迫するために症状が出現していますが、頭蓋骨に小孔を開けて血腫を頭蓋内から排出し、この圧迫を解除すれば症状は消失します。手術は局所麻酔で行いますので、超高齢者でも可能です。