外来診療疾患・検査詳細

消化器内科

食道癌・胃癌・大腸癌

早期食道癌・胃癌・大腸癌(消化管腫瘍の内視鏡的治療を中心に)

 食道・胃・大腸などの消化管腫瘍に対する治療には、「外科手術」「抗癌剤治療」「放射線治療」などがありますが、転移している可能性の低い早期癌に対しては、通常「内視鏡治療」を行います。おなかを切らずに病気の部分のみを切除できる低侵襲治療のため、消化管の機能が温存され、患者様のQOLを保つことができるのが特徴です。

 内視鏡治療には、EMR(Endoscopic mucosal resection:内視鏡的粘膜切除術)やESD(Endoscopic submucosal dissection:内視鏡的粘膜下層剥離[はくり]術)があります。EMRは一度に切除できる病気の大きさの限界が約2cmなのに対し、ESDでは専用の処置具を用いて病気を剥がし取ることで、より大きな病気を切除することが可能です。

 当院では、従来の内視鏡検査に加えて、拡大内視鏡や特殊光観察(NBI:狭帯域光観察)を行うことで、癌などの病気を早期に発見して、ESDなどの内視鏡治療を積極的に行っています。

1.発赤でみつかった扁平な早期食道癌

1.発赤でみつかった
扁平な早期食道癌

2.特殊な染色をすることで病変が明瞭になります

2.特殊な染色をすることで
病変が明瞭になります

3.病変周囲の切開をはじめます

3.病変周囲の切開をはじめます

4.全周を切開したのちに剥離にうつります

4.全周を切開したのちに剥離にうつります


5.全周を切開したのちに剥離にうつります

5.全周を切開したのちに
剥離にうつります

6.切除直前

6.切除直前

7.切除後の潰瘍. 病変は52×42mm大で, 完全に切除されていました

7.切除後の潰瘍.
病変は52×42mm大で,
完全に切除されていました

8.切除6ヶ月後. 瘢痕が残るのみです

8.切除6ヶ月後.
瘢痕が残るのみです


胃癌に対するESDの適応

 大きさが2cm以内で、癌の深さが粘膜内にとどまっていて、癌の中でも分化型といわれる癌は、リンパ節への転移の可能性がほとんどないことがわかっており、内視鏡治療によって根治することができます。

 それ以外でも、最近の研究により、リンパ節への転移の可能性がほとんどない胃癌の条件が明らかになっています。

  • 粘膜内癌で分化型、潰瘍所見なし、大きさの制限なし
  • 分化型、潰瘍所見あり、大きさ3cm以下
  • 未分化型癌、潰瘍所見なし、大きさ2cm以下

 これらの胃癌に対しては、患者様と相談の上、治療を行う場合があります。

1.胃に隆起性病変を認めます

1.胃に隆起性病変を認めます

2.病変の周囲を切開し、剥離します

2.病変の周囲を切開し、剥離します

3.切除後の潰瘍

3.切除後の潰瘍


4.切除標本. 内視鏡によって病変は完全に切除されていました. 48×45mm大

4.切除標本. 内視鏡によって病変は完全に切除されていました. 48×45mm大

膵癌・胆管癌・胆嚢癌(切除不能な場合)

 膵癌・胆管癌・胆嚢癌などの癌に対する最も信頼性の高い治療法は外科手術です。しかし、転移や浸潤といった進行の度合いによって手術が不可能な場合も多く、かわりに抗癌剤治療や放射線治療などを行うことがあります。そのような切除不能の膵癌・胆管癌・胆嚢癌では黄疸が最初の症状に表れる場合があります。

 癌によって生じる黄疸は、肝臓で作られた胆汁が流れる胆管を癌が塞いでしまうことで起こります。全身の倦怠・疲労感、皮膚のかゆみなどをとるために黄疸を減らす処置をしなくてはなりません。

 一般的には、おなか表面からチューブを刺し、先端を胆管に置いて溜まった胆汁を抜く、経皮経肝的減黄術(PTBD)と、内視鏡を用いて十二指腸から胆管に細い筒を置くことで、からだに傷を作ることなく胆汁を抜く、内視鏡的減黄術(EBD)の2つの方法があります。当院では、(1)合併症が少ないこと、(2)侵襲が少ないこと、(3)生活制限が不要なこと、などの利点をもつEBDを選択するようにしています。EBDに用いる細い筒はステントと呼ばれますが、プラスチック製のものや金属製のものがあります。

 重要なことは、1つの治療方法に固執することなく、胆管の塞ぎ具合や患者様の状態を考慮して臨機応変に最良な方法を選択、あるいは組み合わせることです。患者様のQOLの改善につながる方法をとることが大切と考えています。

1.胆嚢癌で胆管がつまり, 黄疸を生じていました

1.胆嚢癌で胆管がつまり, 黄疸を生じていました

2.内視鏡て狭い部分に金属ステントを挿入します

2.内視鏡て狭い部分に金属ステントを挿入します

3.時間が経つと自然に拡がります. 胆管を胆汁がスムースに流れるようになりました

3.時間が経つと自然に拡がります. 胆管を胆汁がスムースに流れるようになりました


炎症性腸疾患

 慢性下痢、(粘)血便、腹痛、発熱といった消化器症状を来たす疾患のひとつに炎症性腸疾患という病態があります。炎症性腸疾患の代表的なものは「潰瘍性大腸炎」「クローン病」「腸管ベーチェット病」であり、いずれも厚生労働省の定める難病特定疾患の医療受給の対象となっています。

 潰瘍性大腸炎は、持続性または反復性の粘血便で発症する事が多く、最近の登録患者数は8万人を越えており、現在も増加しつつある難治性の腸炎です。原因は免疫の関与が疑われていますが、未だ不明です。若念層の疾患とされていましたが、最近は、80歳を超える高齢発症も珍しくなくなっています。また、発癌の危険性もあり、慎重に経過観察をしていかなければならない疾患です。診断は、血液検査や便検査、内視鏡検査、組織検査を総合して診断をします。治療は、薬物療法が中心で、5-アミノサリチル酸やステロイド剤、免疫抑制剤等を病状に合わせて適切に使用する必要があります。当院では、ガイドラインにそって治療を行い、血球成分(白血球・顆粒球)除去療法や、外科とも綿密に連携し、適切な時期に手術療法も行います。

 クローン病も若年層に発症する、原因不明の炎症性腸疾患です。潰瘍性大腸炎と異なる点は、大腸以外に、口腔、食道・胃・小腸や肛門といった消化管、また目や皮膚・関節にも症状が起こります。症状も、血便は稀で、痔瘻や発熱で発症する事も多い疾患です。登録患者数は2万人を越え、クローン病も毎年増加している疾患です。診断は組織検査と画像をあわせて行います。治療は、特殊な食事による栄養方法と禁煙が大切ですが、これでよくならない人は、薬物療法(5-アミノサリチル酸、ステロイド剤、免疫抑制剤)を使用します。最近は、抗TNF-α抗体の製剤(インフリマキシブ)が認可され、当院でも使用し治療効果を挙げています。しかし、それでも、出血や腸管穿孔を起こし、外科的に切除しなければならないこともある難しい疾患です。

 腸管ベーチェット病は大腸回盲部(大腸と小腸のつなぎ目)に大きな潰瘍を形成し、穿孔や腹痛を来たす疾患です。血管や目、口腔粘膜のほか脳神経症状まで合併する全身性疾患です。診断は難しく、治療も各科の専門医と相談して進めていかなければなりません。

過敏性腸症候群

 日常のストレスが多くなると、イライラしたり、疲れがとれずに体がだるい状態が続いたりします。さらには十分な睡眠がとれなくなり、食欲が低下することがあります。このような状態が改善されないと、うつ病や心身症などのさまざまな心の病気を引き起こします。しかし、心の症状として自覚されずに身体的な症状としてあらわれることがあります。

 過敏性腸症候群は、下痢や便秘、腹痛などを繰り返すのに、血液検査や胃腸の検査には異常がみられない病気です。もともと腸と脳のあいだには、「脳腸相関」と呼ばれる関係があり、ストレスを感じると、自律神経を介して腸に伝わって働きに異常を来します。この病気では、腸がさまざまな刺激に対して非常に敏感になります。ストレスや食事などのわずかな刺激によって便通の異常が起こります。症状の現れ方によって、不安定型、慢性下痢型、分泌型、ガス型の4つに分けられます。下痢と便秘、腹痛や腹部の違和感などが複数日間隔で交互に現れる「不安定型」、ちょっとしたストレスや不安を感じると下痢を引き起こす「慢性下痢型」では、いつどこで便意をもよおすかわからないので不安になり、電車に乗っても何度も途中下車してトイレにかけ込んだりします。また、強い腹痛に続いて、大量の粘液が排泄される「分泌型」、過剰なストレスによっておなかにガスがたまる「ガス型」があります。これらは排便によって一時的に症状が軽快しますが、またぶり返すことが多くみられます。

 治療は、人によって異なります。問題を起こすストレスや特定の食品が突き止められた場合には、それを避けるようにします。また、腸内で水分を吸収・保持し、便の固さをほどよく保つ薬や過敏になった腸の働きを落ち着かせる薬を使ったり、ストレスが強く影響している場合には、抗うつ薬、精神安定薬などを用いたりすることもあります。

 当院では、心療内科と連携をとりながら治療にあたっています。

B型肝炎

 B型肝炎とは、HBV(B型肝炎ウイルス)の感染によって起こる肝臓の病気で、肝炎を発症すると、肝臓の細胞が壊れて肝臓の働きが悪くなります。

 B型肝炎には、急性と慢性の肝炎があります。急性B型肝炎は、成人が初めてHBVに感染して発症するものであり、慢性肝炎は、HBVに持続感染している人(HBVキャリア)が発症したものです。慢性B型肝炎はそのまま放置すると、病気が進行して肝硬変、肝がんへ伸展する場合があるので、定期的な経過観察が必要です。

 B型肝炎の主な治療法としては、大きく分けると、抗ウイルス療法(インターフェロンを用いた治療法、抗ウイルス薬を用いた治療法)と肝庇護療法の2つの方法があります。

 急性B型肝炎の場合には、急性期の対症療法により、ほとんどの人で肝炎は完全に治癒します。しかし、まれに劇症化する場合もあることから注意が必要です。

 B型肝炎ウイルス持続感染者(HBVキャリア)がB型肝炎を発症した場合には、ごく初期の軽い慢性肝炎か、ある程度以上進んだ慢性肝炎か、肝硬変あるいは肝癌にまで伸展してしまった状態か、などの「病期」によって、また肝細胞の破壊の速度(肝炎の活動度)や、残されている肝臓の機能の程度(残存肝機能)などによって、治療方針は異なります。抗ウイルス療法により十分な効果が得られなかった場合でも、肝庇護療法により肝細胞の破壊速度を抑えることによって、慢性肝炎から肝硬変への伸展を抑えたり遅らせたりすることができます。

 当院では、血液検査や腹部超音波検査、CT、MRI検査などの画像検査によって肝臓の状態を把握し、患者様の肝臓の状態や年齢を考慮した肝庇護療法や抗ウイルス療法を積極的に行っております。

C型肝炎

 C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染によって起こる肝臓の病気です。HCVは感染者の血液を介して感染します。過去の輸血や血液製剤の投与、臓器移植、適切な消毒をしていない器具を使っての医療行為・民間療法、刺青、ピアスの穴あけ、麻薬・覚せい剤の回し打ち、感染者との剃刀や歯ブラシの共用などで感染する可能性があります。HCVに感染すると約70%の方が持続感染者となり、慢性肝炎、肝硬変、肝癌と進行する場合があります。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状がないまま病期が進むことがあり、HCVの感染が分かれば症状がなくても検査や治療を検討する必要があります。

 これまでの治療はインターフェロン(IFN)だけを単独で注射する方法が一般的でしたが、最近はリバビリンという飲み薬を併用することで、より高い効果が期待できるようになりました。しかも、ペグインターフェロンという週1回の注射ですむ薬剤も開発され、患者様の負担も軽くなってきています。

 また、HCVを排除できない方には、肝癌の発生を予防する目的でIFNの少量長期間用いる方法があるほか、IFNが使えない方には、ウルソデオキシコール酸(内服)やグリチルリチン配合剤(注射)により、肝機能を正常に保ち、肝炎の進展を防止する肝庇護療法があります。

 現在、医療保険により肝炎ウイルスの除去を目的として行うIFN治療には、所得に応じて、月あたりの医療費を軽減する目的で、医療費助成が受けられます。当院でも多くのC型肝炎の患者様がIFN治療や肝庇護療法を受けておられます。

肝細胞癌

 肝臓がんの死亡率は、胃癌、肺癌に次いでがんの死亡統計の第3位をしめ、この30年間で死亡者数は約3倍になり、年々増加傾向にあります。肝臓がんの90%以上が肝細胞癌です。わが国においては、肝細胞癌の約75%がC型肝炎、約15%がB型肝炎、合わせて約90%が慢性ウィルス性肝炎を背景にしており、しかもその大多数が肝硬変を合併しています。肝がんにおける診断・治療のポイントはいかに高危険群から早期のうちに癌を発見し、適切な治療を行うかにかかっています。

 肝細胞癌の検査には、腹部超音波検査、腹部CT、血液検査による腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-Ⅱ、AFP-L3分画)、MRI検査などを定期的に行う必要があります。腹部超音波検査、腹部CT、腹部MRIでは、それぞれ造影剤を用いた検査が近年進んでおり、当院でもより精度の高い検査ができるようになっています。

 肝細胞癌の治療適応は、肝機能(肝予備能)、腫瘍径、腫瘍数、脈管侵襲の有無、遠隔転移の有無などを考慮して決定されます。外科的切除は最も局所根治性の高い治療ですが、前述の条件よりかなり症例が限定されるのが実情です。他の治療としては、数が2、3個以下かつ大きさが3cm以下の腫瘍であればエタノール注入療法、ラジオ波焼灼療法を、それ以外では肝動脈塞栓療法や化学療法を検討します。肝細胞癌で肝移植を行う場合は、60歳以下の腫瘍径5cm以下の単発の腫瘍であるか、腫瘍径が3cm以下かつ3個以下がよい適応とされています。

胆石症

 胆石は、胆嚢や胆管に形成された結晶の集合体で、大部分はコレステロール結石でできています。結石が胆嚢内にある場合を胆石症、胆管内にある場合を胆管結石症といいます。胆石形成の危険因子は高齢、肥満、洋風の食生活、胆石の家族歴などがあります。

 胆石のある人の約80%は症状や問題を感じたことがないと言われています。しかし胆石が胆汁の通路(胆管)をふさいでしまうと、吐き気や嘔吐とともに激しい痛みが生じます。胆管系が閉塞すると細菌が繁殖し、感染が起こり、悪寒、発熱、黄疸も起こります。細菌性胆管炎は、細菌が血流によって全身に広がり、敗血症性ショックなど生命に関わることもあります。

 胆管結石のほとんどは内視鏡検査(ERCP)を行い、取り除かれます。内視鏡を通じて、処置具を挿入し、胆管の出口(乳頭)の括約筋を切開した後、砕石、採石を行います。その後胆嚢結石もある場合は、胆管結石再発予防、胆嚢炎発症予防のため胆嚢摘出術を(当院外科ではその多くが腹腔鏡下手術にて)行います。ご高齢や全身状態から乳頭切開、砕石・採石が難しい方では、胆汁流出路確保のため胆管にチューブステント留置を内視鏡的に行います。

慢性膵炎

 慢性膵炎とは、膵臓に炎症が持続的に起こり膵臓の細胞が破壊され、膵臓自体の機能が徐々に失われていく病期です。原因としては約50%がアルコール過剰摂取によると考えられており、その他、胆石症、特発性(原因不明なもの)が挙げられます。症状としては、腹痛・背部痛、食欲不振、体重減少、下痢、膵内分泌機能低下に伴う糖尿病の悪化がみられます。

 慢性膵炎自体は禁酒、血糖コントロールなど適切な治療を受けていれば死に至る病期ではありませんが、健康な方と比べた場合、膵癌・胆管癌・胆嚢癌などの悪性腫瘍の合併や、糖尿病悪化に関連した死亡率が高くなります。決して油断できる病気ではありません。

 当科では、腹部超音波検査、CT検査、内視鏡的膵管造影検査などで、膵臓の状態を調べ、できるだけ初期に診断を行い適切な治療を行うように心がけています。